ダイビング・スタイルによるフィンキックの相性に焦点を上げてみた。
こと、テクニカルダイバーはフロッグキック(平泳ぎの足)を多用し、一般のフラッター・キック(いわゆるバタ足)を嫌う傾向がある。
テクニカルダイビングで使う変形フラッターキックは足を大きく動かすことなく、先の部分のみ撓らせて巻き上げ防止を防ぐという方策をとる。基本Cave Diving 発祥のテクニカルダイビングは
巻き上げ防止
のために、フロッグ・キックをメインに使うという説明がなされているが、
それとは別のアプローチでダイビング・スタイルとしての相性もあるという観点で見てみる。
まず、一般シングルタンク・ダイバーとフラッター・キック
見てわかる通り、重量のあるタンクはダイバー背中中央にかかっており
次に、ウェイトは腰回り下向き
浮力はダイバーの胴体
と重力は灰色、浮力は青(BCを同じ色にした)で示している。
この時、フラッター・キックをした時の力の向きは、黄色の矢印になり、
ダイバーを中心にゆすることとなりロール(回転方向)への作用が働く。
巻き上げを考えなければ(例えば中層)、これはこれで特に問題ない動きになる。
基本、フラッターキックの方がパワー効率が良いうえに、
ロール方向の力を妨害されることないのでパワーロスも防げて、かつ体軸は維持できることになるスタイルになる。
次にBack mount Twin Tank(ダブルタンク)
Twin Tankタンクとバックプレートで背中を面で押すことにより重量のかかり方が
シングルの中心の極めて狭いエリアから広がっている。
更に、BCはタンクを覆うように膨らみ、その外側2点を吊り上げるように上方に力を×。
この状態でフラッターキックを行うとロールによる力分散とぶつかり合うことによる
姿勢の乱れ、パワーロス
が起こりがちになる。なので左右同時対称のフロッグキックの力のかけ方で姿勢の乱れやパワーロスを抑える効果があるともいえる。
3つ目、Sidemount
Sidemountサイドマウントの場合、タンク重量は両端下方にかかり、BCによる浮力はダイバー脊髄を吊り上げる形になる。(ウェイトはこれを相殺する位置に自由に配置できるが)
結果、両端を下方向で押さえ、真ん中を吊る形になる。
(Toddy Styleの場合は、浮力が真ん中ではなくタンクより内側の両端)
タンクはバックマウントのように固定化されておらず(フックされているだけ)なので、
姿勢の変化はかなりの重量乱れが起きる。このことからも左右同時対称のフラッターキックが有効に働く。なお、Backmount と違ってキックする位置は全体的に中央であることが好ましいため、フィンキックをする動作はBackmoutのそれより下の部分(お尻の後方)に蹴りこむのが有効になる。
という、パワー効率、姿勢制御を考えたうえで、キックを流用した方がよい。