Toddy-Syte Sidemount System を昨今手に入れましたが、
私、2006 年ごろにSidemount を開始、同年からCenote でのCave Diving に使用してきてその間、いろんなSidemount System を利用してきて、現在ではSF2 Sidemout CCR(リブリーザー)までに使用するに至り、一旦ここで昔を振り返って整理。
まずは、最初に購入した
Armadillo Sidemout BC
それまで、製品版のSidemount BC が公式には DiveRite Nomad しかなかったのだが、元々Back Plate に対してソフトハーネスである、Trans Pack に、サイドマウント用に腰側に浮力を多めにとったウイングを付け替えて、Back mount ダブルタンクのWing を付け替えることで共用化する、という中途半端なBCだったので、他に専用のものをと求めて探し当てたのがこのArmadillo BC
「インフレーターホースが腰横から胸に上がるタイプで、この形が初めてで、かつサイドマウント自体が初めてだったのと、教えてくれる人がいなかったため、仲間を引き込んで共同購入の上、仲間を巻き込んでコンフィグを煮詰めていった懐かしい機材。
このBC にかなり長く活躍させてもらった、最初のサイドマウントの基本を学んだといってよい機材。当時、スチールタンク仕様も考えての事で、ヒップレールが流行っており、このモデルもそれを踏襲、基本、アルミタンクにはウエイトをつけて対応する、というやり方がスタンダードだった。
が、今は、腰にもナローDリングをつけて、タンクにはウェイトを付けず、運用するようにしている。
のちに、あのバハマのクリスタルケーブを開拓した
Brian Kikuk
もこのArmadilloを使うようになったことは有名である。
そして、巨大スチールタンク使用時にarmadillo の浮力容量に不安を感じ、大きな浮力と乗れる、
Dive Rite Nomad
を購入
先に言った通り、Sidemount BC として恐らく初めて製品化したモデルがNomad であるが、私が入手したNomad は初期型(ソフトハーネスと別体型) ではなく、バージョンアップ後に出た一体型である。(写真)
Armadillo との違いは、スチールビックタンクでも大丈夫な浮力容量と、インフレーターホースは通常のバックマウントと同様に肩から下に下げるオーバーショルダータイプ。
このころのトレンドか、ヒップレール仕様
でも、心配していたスチールビックタンクなのだが、サイドマウント業界ではそもそもビックタンクスチールを使用すること自体が後にすたれていくのであった。(ちゃんとした理由もあります。)
で、結局 Armadillo を使うことが多かったわけなのだが、コンフィグレーションを色々変えていくうちに、ネット上で見つけた
Razor Harness
に一目ぼれしたわけだ。
後に、「Razor 2 Sidemout System」としてSidemout 業界でスタンダードにもなりつつある地位を獲得するのであるが、これはその前身で
開発者、 Steve Bogeats 氏が手製で考案した超軽量 Sidemout ハーネスで極狭環境への侵入、浮力体のミッドシップレイアウト思想がふんだんに盛り込まれた革新的なスタイルに惚れました。
で、当時通っていたCenote に住む、開発者 Steve Bogearts 氏にアポし直接手渡しでRazor Harness を入手。マニュアルをもらい、日本で持ち帰ってConfiguration を煮詰めていきました。
恐らくRazor を始めたのは日本人初だったのではないでしょうか….
なもので、当時の私の師やそのほかのテクニカル/ケーブダイビング仲間からは色眼鏡で見られ、馬鹿にされたりバッシングされていましたがめげずにでもこそこそコンフィグを煮詰めていきました。
Razor Harness は、専用のBCではなく、登山用品で有名なMSR社の
ドロメタリーバッグ(水飲み袋) を浮力体として腰に巻いて使うという荒業でした。パワーインフレーターもなく、水飲みチューブを使って吹き込み、排気をする、という非常に原始的なものでした。
まあ、Steve Bogearts 氏自身が時にBCなしで潜ったりもしていたので彼の身体能力あってのものだったのかもしれませんが…
で、この浮力体に不満を持った某テクニカルダイビングインストラクターが、このドロメタリーバッグの代わりにシングルタンク用のブラダーを組み合わせたモノを使用するようになり、それを進められた私は、そこからさらにオーバーショルダーだったインフレーターホースと腰にある排気バルブを上下好感して、腰から胸に向かうインフレーターホース、そして肩には排気バルブに引っ張りひもを延長して胸のDリングに設置、ひもを引っ張ることで廃棄をするという方式にカスタマイズして Afghan Original としていました。それが以下の写真。
シングルブラダーをRazior ハーネスで抑え込んだ形をとっているため、BCへのガスはあまり入らないことになります。
基本はハーネスがRazor であることで、今までスチールタンクやアルミタンクにウェイトを付け、ヒップレールから下げかけるやり方をやめ、タンクはアルミのみ、腰のDリングを複数設置して付け替えることで後半タンクの浮きを押さえる方式に変換、
これにより、タンクを前に出しても重心が変わらず、軽快な動きができるというRazor Harness の利点を生かしつつ、BCの空気入れ過ぎによる、ブラダーの風船化を抑える形でこれもよく使いました。
ですが、BCをハーネスで縛る方式なので浮力が犠牲になるのが若干気になってはいました。
そうこうしているうちに、あのRazor Harness が進化!
専用のBCを引っ提げて、
Razor 2 Sidemout System
として再デビュー!したのがこれです。
ひし形の専用ブラダーは、実は2重袋になっていて、以前のドロメタリーバッグと同様に水飲みホースが付いており、それとは別にパワーインフレーターと排気バルブが付く形をとりました。
これがのちにサイドマウントBC のスタンダードな形の一つとなり、Xdeep /アクアラング社などが後に同様のBCを出すに至るまでになりました。
ですが、これを入手した当時、おそらくは日本人初つだったわけなのですが、あまりに突飛な形をしていたため、周りからはやはり色眼鏡で見られ、「またAfghan が変なものに手を出している」と非難豪号で、Razor オリジナルを入手したときと同様に否定され、理解者は一人もいませんでした。
でも、このかたちにひかれどうにか使いこなせないかと、日々コンフィグレーションを煮詰め、今ではSF2 Sidemout リブリーザーにまで使用するに至っています。
で私の導入3年後、私を否定しまくった人が、このRazor Officeal Instructor となったことは知る人ぞ知る話。
この辺りから各社Sidemout BCを本格的に出すようになり、
XDeep でも良品がかなり出ている。
私はXdeep 製品は入手しえなかったが、基本Razor と似た構成をとることから、有用に使えることはよくわかる。
で、Sidemout Diving は極狭環境への命題を突き詰めていくと
もっとシンプルに、コンパクトに最小限の機能、
ということになると、Razor 初期型も捨てがたい、
あれに単にパワーインフレーターと排気バルブが付くだけでもいいのではなかろうか?ということで最小構成のBCがこれ。
これで十分なのではないだろうか?
その後、私はRazor 2 Sidemout Systemを使い続け、更には日本はおろか、世界でも出たばっかりであまり使われていない
SF2 Sidemout CCR (サイドマウントリブリーザー)
を入手、メーカーモデルも、バックプレートにタンクを付けたりと
イマイチなコンフィグレーションしか出していないところ、
Razor との組み合わせでもっとスマートにできないか?
との思いから、このサイドマウントリブリーザーを手に入れ、
Razor 2 Sidemout System と組み合わせてコンフィグレーションを煮詰めていったのであった。
もちろん、やっている人は少なくとも日本にはいない状況だったのでほぼ独学、というか人に否定されて、それでも反発して独学でやることにもう慣れてきていた自分、また、さらにそれが数年後世間にちゃんと認知されているという先見の明の実績と自負があったので
自分を信じて独自スタイルを確立し、今に至る。
その間、Open Circuit Sidemout と Sidemout Rebreather との大きな違いにも触れ、左右対称重量配分を実現する OC に対して、
必ずしも左右対称とはなりえない、CCRに対する、Razor Sidemout Systemの弱点にも触れた。
それを克服するConfiguration も絶妙に対策しつつ2つのConfigurationを確立させた。
一方で浮力体が左右に二分することによる左右非対称重量配分にも対応できる、かつてのArmadillo などのWingを買い越し始めたところ、
Toddy-Style Sidemout System
を見つけるに至る。
Razor Sidemout Systemで培ったConfiguratio とはまた違うホース構成などを取らないといけない形ではあるが、このネオクラシカルな
BCをも洗練させたConfiguration で対応させていきたいと思っている今日この頃である。
インナーとアウターのバックプレートでサンド一致した形。ヒップレールはかつてのものから横につぶれて引っかかりをなくした流線形を保持するところは時代を感じるスタイリッシュさ。
インフレーターホースはオーバーショルダー型なのだが、通常のバックマウントのものと違い、付け根のエルボーはつぶれた形をとっており、侵入時に障害にならない工夫が施されている。
詳しくは使用してから使用感も含めて後にレポートしようと思う。
総じて、Razor2 Sidemout や、超最小構成をとる、Razor Lite System, 左右非対称対応型のTodd-style など状況に応じてBCをチョイスできるといういろいろな要素があっての使い分けができる。むろんその特性を理解し、それぞれを使いこなす独特なテクニック・スキルはあるのは言うまでもなく、使いこなせなければその意味はないことを付け加えておこう。
とこれらの機材やスキル要件などを知りたい方は、
各種Sidemout Systemの遍歴を積み重ね、サイドマウント・ダイビングインストラクターである Afghan まで、興味がある方は講習そのほかお待ちしております。