リブリーザー(Rebreather)

ガスを再循環させることによる新しい形

  • 2015.11.19

テクニカルダイビングではガスを大量に必要とする。タンクを複数本必要な分だけ持っていく必要が出てくるが これを効率化するためガスを再循環させる構成をとり、結果的に泡の出ないサイレントなダイビングが可能になった。

リブリーザー

リブリーザーとは、読んで字のごとく、"Re-Breath" つまり、再呼吸装置のことを指す。 人は呼吸ガスのうち、本当に必要なガス(代謝するもの)は酸素であり、空気中に含まれる窒素そのほかのガスは 消費はされない。しかも酸素は一呼吸ですべて使われるわけではなく、オープンサーキットではすべて一呼吸で まだある酸素ごと捨てているのである。これを循環させ、足りなくなった酸素だけを何らかの形で追加し 代謝しない不活性ガスはずっとループを回り続けることで、ガスの省エネを図る。 ガスの出ないことのメリットは、必要ガス容量の削減にとどまらず、泡が出ないことからの生物への警戒心を解き、 撮影時に魚などが逃げない、本来の水中の静寂を感じることができる、ペネトレーション時に吐いた泡が 天井や障害物に当たり濁らせる現象、パーコレーションを防ぐ、他、循環ガスにより湿度のあるガスを呼吸し続ける ことからの体への負担も軽減される。

カウンターラング

リブリーザーとオープンサーキットの大きな装備の違いとしてあるのは、カウンターラングが存在することである。 カウンターラングは、吐いた息をため込んで再び肺に戻すための袋でリブリーザーの重要なパーツであり、 敗れなどの水没時は、重大なトラブルを引き起こすことになる。 呼吸抵抗の問題から肺の近くに設置することが望ましく、現状メインとしては胸の前であったが、 ペネトレーションなどを行う際、ここをする可能性などがある事から、バックマウント・カウンターラング が以後第二の勢力として出てきている。 また、現在、サイドマウントリブリーザーという新たな形において、ユニット内にカウンターラングを モノ・カウンターラングとして設置するユニットも出てきている。

Chestmount(Inspiration)
Backmount(rEvoⅢ)
Unitmount(SF2 sidemount)

ガスの再利用方法 CCR / SCR

人間は呼吸ガスに通常空気(酸素21%, 窒素78%, その他1%) のガスを吸気するがこの時消費するのは酸素だけでありそれも21%分のうち1/3 ぐらいしか使用しない。
よって、これを捨てずに再利用することでガスの省エネを実現する。
再利用の際、呼吸により発生する二酸化炭素(CO2)を吸着材に濾過させることにより除去、そして消費された酸素を追加していくというものがリブリーザーというものである。
酸素レベルの維持の方法としては以下の二通りの方法がある。
・SCR (Semi-Closed Circuit Rebreatehr, 半閉鎖式リブリーザー)
・CCR (Closed Circuit Rebreatehr, 全閉鎖式リブリーザー)
SCR は一定量のナイトロックスなどのガスを吹き込み、ループガスを排出することにより定期的な ループガスのリフレッシュを行うことで、酸素濃度レベルを一定量キープする方法を取る。一定量排出することから半閉鎖と呼ばれる。
対してCCR は消費された酸素のみを添加し、ループガスの排出は行わない、完全閉鎖回路をループとする。
吸気したガスは全て排気する通常のOC(Open Circuit)ダイビングに比べ同一深度で使用する必要ガス量を少なくすることができる。
深度が深くなれば深くなるほど、その差は開く。

CCRについてはコンスタントPO2(一定酸素分圧キープ)することにより、各深度でのベストミックスを呼吸する事により減圧時間を短縮でき、結果深度によって極端に残圧が減る事は無く、時間管理として計算できる。

ただし、リーク(漏れ)の場合は持っているタンクの容量が小さいためそれ相応の工夫した対応が必要となる。
最終手段として、緊急浮上用のオープンサーキットタンク(ベイルアウトタンク)を使用することも考えると、 最低限このベイルアウトタンクは最大深度から安全に浮上できるだけのガスを持っていなければならないことになる。

その辺りの手順、方法論を身に付けていく事は、リブリーザーダイバーの必要な事項であり、頭を使うところでもある。

Silent Diving - 静かなダイビング

排気が無いため、OCのようなブクブク泡は出ない。ただしSCRはOCほどではないが少量の排気は行われる。
このため、潜水中は本来の海の静けさを堪能する事ができる。
そして、魚などの水中動物も逃げない。群れと同化する事さえ可能だ。
生物のダメージも最小限にとどめ、ペネトレーション(進入ダイビング)時もパーコレーションを防ぐ事もできる。

呼吸ガスループ内は空洞となっているため、会話も明瞭に聞こえたりもする。

音の世界をとっても異次元感覚は味わえるだろう。

Semi-Closed Circuit Rebreather(SCR, SCCR)

半閉鎖式リブリーザーを指し定量のガスを常に供給/排気する形で、呼吸ガスをループさせることにより 呼吸ガスを保持する方式を取る。
CCRに比べてガス効率は悪いが、コンスタントPO2をキープするための電子回路制御などのような複雑な構造はとらず、トラブルも複雑ではない事が利点となる。
ただし、リフレッシュ分の一定量のガスの排気はある。完全閉鎖と呼ばれず半閉鎖と言われるゆえんである。
ガスを強制的に注入、排出する Active Typeと、ガス消費の不足要求によりガスが供給されるPassive Typeとが存在する。
1ガスによるダイブタイムの延長が目的のセミクローズドリブリーザー(Drager Ray/Dolphin, Kiss GEM, Hollis Explore)が多く、この場合は40mを超えるような深度には適さないが、複数のミックスガスを使用しての減圧ダイブもガスコネクションによるループガスの変更、選択により40mを超える深度、および潜水時間延長が実現可能であり、減圧時間に関してはCCRほどの効率は望めないがOCと同等のTrimix, Nitoroxなどの加速減圧も可能なモデルも存在する。(Halcyon RB80, SF1など...)
なお、Hollis Exploreは、ソレノイドバルブ(電磁バルブ)によりPO2(酸素分圧)が規定より下がった時に供給されるという、E-SCRという新しいカテゴリーを生んだ。

CCR (Closed Circuit Rebreather)

完全閉鎖式リブリーザで、一度呼吸した後の排気ガスをそのまま再利用する形を取り、基本的に浮力調整時やフラッシング(ガス換気)時以外は排気を行わない。
手動、もしくは自動制御にてコンスタントPO2(酸素分圧固定)方式を取ることにより減圧時間の短縮を図る、というメリットもある。
基本的に純酸素(Oxgen)と希釈ガス(Dulent)のガスの2種類を搭載し、これを混ぜ合わせる構造となっている。
自動制御は、オリフィスなどの定量ガスの吹き込みなど機械式のm-CCR, 酸素センサーの電圧コントロールによるソレノイド(電磁)バルブでの酸素供給を行う、e-CCRおよび、これらのHybridなどが存在する。
希釈ガスをGCS(ガスコネクションシステム)により切り替えることで、Trimixによる深深度 Divingも可能になる。
主な機種:Inspiration, Evolution, Megalodon, Ouroboros, Sentinel, JJ-CCR, rEvo

ベイルアウト

リブリーザは呼吸ガスを外に出さず給排気をユニット内で完結させるものである。
なので、ユニット内の水没は基本的にタブーである。といってもちょっとぐらいの浸水には耐えられる構造を取ってはいるが...
ガスも必要量からしてタンクを小型化しているためリークなどにもシビア。
電子制御タイプのコンスタントPO2を仕様とするリブリーザはその部分やバッテリー部などの水没はユニットの誤作動、停止などの自体を招く。
また、二酸化炭素吸着剤の部分に浸水した場合、これが溶解してアルカリ性の溶液がユニット内を流れるという、危険な状態も起こりえる。
完全にCCRユニットが使えなくなった場合の予備としてOC(タンクにレギュレータをセットしたもの)をベイルアウトタンクとして常備する必要がある
戻りの部分だけでいいが、万が一のための備えだ。最終手段として、このベイルアウトタンクを使用する。
もちろん、何事も無ければ、このベイルアウトガスは使用しないことにはなるが...
これをもたないことは、最終手段を持たずに...という事である。

どうやって始めるか? - カリキュラム -

リブリーザーには賛否両論で指導団体に拠ってはその危険性からリブリーザを否定しているテクニカルダイビング指導団体も存在する。
そして、ユニット(製品)毎に使用方法が異なるためそれぞれのユニットごとにコースが開催される。
もちろん、他機種に切り替えたい場合はクロスオーバーは可能である。(CCR同士の場合)
リブリーザーのコースを開催している団体ではIANTD, TDIが有名であるが更にリブリーザー専門の指導団体 IART も発足している。

完全閉鎖式のフルCCR のコースには

IANTD TDI IART 説明
CCR AirDiluent CCR Mod Ⅰ 希釈ガスに空気を用い, 減圧不要限界内ダイビング
Normoxic Trimix CCR Mixed Gas Diluent CCR Mod Ⅱ 希釈ガスに空気相当の酸素濃度を持つTrimxを用い, 減圧ダイビング
Trimix CCR Advanced Mixed Gas Diluent CCR Mod Ⅲ 希釈ガスに低酸素濃度Trimixを用い, 減圧ダイビング
と定義されている。

いずれにせよ、まずデュレントガスにAir を使ったコース、陸上で呼吸可能なNormoxic Trimix をデュレントに使用したコース、 および、深深度を可能とするために、陸上では呼吸不可能なHyposic Trimixガスにデュレントを切り替えて潜るコース の3段階になる。

セミクローズドの場合は、テクニカルとレクリエーショナルでその様相は異なる。

用語集

カウンターラング counter lung リブリーザーにおいて吐いた呼気をためておく袋。"対する肺"という訳
ブリージングバッグ breathing bag カウンターラングと同意に使うこともある。カウンターラングの中袋のことを指す場合もある
ベイルアウト Bail out リブリーザーがダウンしたときに予備の呼吸源としてオープンサーキットに切り替えることを言う。
CVF Constant Valume Flow レギュレーターにおいて、オリフィス(小さな狭められた穴、隙間)を通るときにその体積流量は
一定になるという物理法則をいう。
CMF Constant Mass Flow 酸素供給を行うリブリーザーにおいて、深度が高くなる毎に高圧になるため定体積流量に対して
圧力を一定にすることにより低湿流量を実現する方法を言う。
定酸素分圧 Constant PO2 酸素分圧を一定に保つこと。CCRはこれをキープするように酸素分圧を制御するように動作する。
キャニスター Canister PO2 呼吸により増加したCO2をろ過する吸着剤をつめておく筒。
ソフノライム Sofnolime CO2を吸着剤する白い粉。二酸化炭素通過時に化学変化を起こし水と炭素に変化し、熱を発する
デュレント・ガス Dulent gas CCRは純酸素を使うが、それを呼吸に適したガスとして薄めるための希釈ガスの事を指す。
Air Dulent というと希釈ガスに空気を使い, 他にTrimixなどを使用して大深度に向かうこともある。
ベストミックス Best mix 潜水深度に応じて減圧時間を最短にし、かつ酸素中毒を防ぐ最適の酸素濃度(配合)を指して言う。
ADV Auto Dulent Valve カウンターラングが水圧によって体積が縮小した際、自動で流入するシステム。負圧利用
GCS Gas Connection System デュレントガスをインボード/アウトボードと切り替えるときにレギュレータにつなげて使用する
切り離しできる接続部のあるホース
BOV Bail Out Valve リブリーザーマウスピースにオープンサーキットのセカンドステージをミックスさせたもの
リブリーザーが故障したときにオープンサーキットに切り替える際、咥え換えの必要はない。
ハンドセット Hand set 酸素分圧を監視するための手元でつかめるゲージ。
HUD Head Up Display 酸素分圧を常時監視するため、眼前(ブリージングホースもしくはマウスピース部)などに
設置した表示機器。主にLEDの色や点滅で酸素分圧を示すようなもの。
mCCR mCCR 機械式のCCR
eCCR eCCR 電子制御式のCCR
バックマウント・カウンターラング Backmount counter lung カウンターラングが背中のほうに配置されている形式
フロントサイドに比べて前面がすっきりし、極狭環境で胸をするなどでの故障を避けることができる。

リブリーザー・ダイバーとなるための10ヶ条

1自己満足せず、自惚れず、謙虚であること
2注意散漫に陥らないこと、集中すること。
3規律あるダイバーであること
4考えるダイバーであること。
5常にPO2(酸素分圧)を把握すること。
6ケチるな。
7CCRをメイン機材とすること。
8機材は故障するものと認識し、そうなった時の対処法を講じておくこと。
9講習で紹介されたトラブルはいつか必ず実際に起こりうることと認識し対処法を講じておくこと。
10一つでもトラブルを抱えたままダイビングを開始しないこと。

SCR

半閉鎖式リブリーザーを指し定量のガスを常に供給/排気する形で、呼吸ガスをループさせることにより 呼吸ガスを保持する方式を取る。
CCRに比べてガス効率は悪いが、コンスタントPO2をキープするための電子回路制御などのような複雑な構造はとらず、トラブルも複雑ではない事が利点となる。
ただし、リフレッシュ分の一定量のガスの排気はある。完全閉鎖と呼ばれず半閉鎖と言われるゆえんである。
ガスを強制的に注入、排出する Active Typeと、ガス消費の不足要求によりガスが供給されるPassive Typeとが存在する。
1ガスによるダイブタイムの延長が目的のセミクローズドリブリーザー(Drager Ray/Dolphin, Kiss GEM, Hollis Explore)が多く、この場合は40mを超えるような深度には適さないが、複数のミックスガスを使用しての減圧ダイブもガスコネクションによるループガスの変更、選択により40mを超える深度、および潜水時間延長が実現可能であり、減圧時間に関してはCCRほどの効率は望めないがOCと同等のTrimix, Nitoroxなどの加速減圧も可能なモデルも存在する。(Halcyon RB80, SF1など...)
なお、Hollis Exploreは、ソレノイドバルブ(電磁バルブ)によりPO2(酸素分圧)が規定より下がった時に供給されるという、E-SCRという新しいカテゴリーを生んだ。

Dolphin / Ray

Drager 社製。Dolphin と Ray の二種類があり軍用としても使われた。EANx32やEANx36を使い、レクリエーショナル用として使われる。

RB80

GUE Halcyon 開発のセミクローズド・リブリーザー。入口水深90mの洞穴ワクラを探索するために開発された。Mixガスを複数ステージとして持ち込み、適宜ガスコネクションで切り替えることにより オープンサーキットのガスチェンジと同様の加速減圧を実現しようとするもの。テクニカルダイビング用。

GEM / Sidekick

KISS社製。Keep it simple and stupid という標語のもとにシンプルうな構造化により堅牢性を維持、OCに比べ3倍のガス消費燃費を実現するというGEMシステム。サイドマウントバージョンとしてSideKickが用意される。なお、SideKickは、mCCRバージョンも存在する。

Explore

Hollis 社により、E-SCR として開発された。酸素センサーによりCCRのように監視し、ソレノイドバルブにより酸素を注入するという仕組み。組み立てからキャリブレーション、リークチェックなど必要なプレダイブをコンピューターで自動指示する仕組みになっている。

CCR

完全閉鎖式リブリーザで、一度呼吸した後の排気ガスをそのまま再利用する形を取り、基本的に浮力調整時やフラッシング(ガス換気)時以外は排気を行わない。
手動、もしくは自動制御にてコンスタントPO2(酸素分圧固定)方式を取ることにより減圧時間の短縮を図る、というメリットもある。
基本的に純酸素(Oxgen)と希釈ガス(Dulent)のガスの2種類を搭載し、これを混ぜ合わせる構造となっている。
自動制御は、オリフィスなどの定量ガスの吹き込みなど機械式のm-CCR, 酸素センサーの電圧コントロールによるソレノイド(電磁)バルブでの酸素供給を行う、e-CCRおよび、これらのHybridなどが存在する。
希釈ガスをGCS(ガスコネクションシステム)により切り替えることで、Trimixによる深深度 Divingも可能になる。
主な機種:Inspiration, Evolution, Megalodon, Ouroboros, Sentinel, JJ-CCR, rEvo

Inspiration / Evolution

イギリスの AP Diving 社が出したリブリーザー。1997年に発売され その後、コンピュータを搭載し小型化したEvolutionが発売され、Inspirationもコンピュータを搭載したVision Electronicsが発表され、元のInspiration は現在 Classic と呼ばれる。 一般ユーザーに価格的に手の届く150万以下で購入できる量産型のリブリーザーの先駆と言っても過言ではない。

Megalodon / Pathfinder

アメリカ ISC社製。堅牢さに重きを置き、酸素センサーがメンブレン以外は防水されている、酸素吸入位置の工夫などがされ、さらにユニットに多くのバリエーションを持つMegalodon リブリーザ。m-CCR, e-CCR なども用意され、ユニットもMini, Cave, Standard, Long などバリエーションが豊富。ソフノライム(二酸化炭素吸着材)の効率化を求めラジアルスクラバーも用意される。その小型バージョンでPathfinderも発売されている。

Sentinel

イギリス VR社製。現在はVMS社が扱う。カウンターラングをユニットシェル上部に配置したバックマウントカウンターラング、CO2センサーを最初に取り入れたリブリーザー。エレクトロニクスはVRシリーズ。

Hammer Head

Juergensen Marine electronicsという独自のエレクトロニクスを搭載する。カウンターラングは胸、肩、背面と三種類、さらにE-CCR, M-CCR, Hybrid の三種類の酸素供給方式を選べる。
Sub-Gravityなどで取り扱っている。

MK6 / se7en

Poseidon社が開発したリブリーザー。Dive中での自動キャリブレーションで酸素センサーを監視するという新しい発想を元に設計されている。バッテーリーが専用ユニットになっておりこれによりDive Time などのレベルを制限する。レクリエーショナル用に開発されたMK6 とその上位機種であるse7enとがある。

JJ-CCR

Mede in Germany. IARTという指導団体が大々的に推してきたバックマウント・カウンターラング標準のリブリーザー。堅牢さとシンプルさを兼ね備えたモデルで、インボードタンクとして最大4本を装着できる構成をも持つ。リブリーザー界の4WDなどと言われていたこともある。 リブリーザによる世界最大深度記録もこれで樹立されている。エレクトロニクスは、Sheawater Predetor / Petrel.

rEvoⅢ hyprid

ベルギー製。デュアル・スクラバーをカウンターラングに直結させ、カウンターラングをハードケース入りのバックマウントとした斬新なデザイン。m-CCR であったrEvoⅡの進化版としてe-CCRをも組み込んだHybrid CCRに進化した。この冗長性は他のリブリーザーにはない安心感と、その構成、組み立て準備のシンプルさでは群を抜く。 rEvo Dream による酸素分圧モニターとエレクトロニクスとしてSheawater Predetor / Petrelを搭載する。 ハードケース(カウンターラング)のサイズによりMicro, Mini, Standard とがありMiniとStandard にはステンレス, チタンとが選べる。(Microはチタンのみ)

SF2

ドイツ製。SCCR であったSF-1 から e-CCRとして進化を遂げた。従来のBackmount Style の他、Sidemount e-CCR への変貌が可能。カウンターラングはユニット内蔵型。 組み立てもシンプルで部品点数も少ない。扱いにはちょっと癖があるが、新コンセプトのもとに生み出された新しいスタイルを提案できる。エレクトロニクスは、Sheawater Petrel.

リブリーザーの進化発展

リブリーザーダイビングは、一般のオープンサーキット(Open Circuit, OC)・ダイビングに比べると構造が複雑な分、いろいろなトラブルを想定してそれに応じた対応を考え、対処する必要が出てくる。 浮力調整も独特で、OCのように肺のボリュームの感覚での浮力調整は叶わず独特であり戸惑うこともあるだろう。

カウンターラング、ブリージングホース、ユニットを通過するガスは、周囲水圧と同圧力状態にあるためシーリングが弱く水没の可能性がOCより高い。
刻々と変動する酸素センサー値の値は最重要課題となり、基本長い間目を離すことはできない。
OCで多くの経験を積んでベテランとなったとしても、リブリーザーは初心者同然となりうる。
その代わり多くのトラブルに対して、打つ手無しという状況にはならずいくつかの手があり、それを選択し、安全を確保する方法を見出す事ができるが、そういうトレーニングおよび対応装備が必要である事は言うまでも無い。
自転車と自動二輪の乗り方が違うように、共通する部分がありつつ、違う部分もある、頭の切り替えが重要だ。

リブリーザー自体は、理論は確立されて歴史もあるモノではあるが使用者によって完全完璧なものではない。妥協の産物である。
その妥協点を使用者のスキルで埋め合わすことができなければ危険なツールとなりクリティカル(致命的)な状況に一気に落ちることも肝に銘じたい。

今までCCR のCaveなどのペネトレーション(侵入行為)では、電子制御のE-CCRなどは不向きと言われてきた時代もあり、簡単な構造のセミクローズド・リブリーザー(SCR)や、機械式のm-CCRの方が適しているとされてきたこともあったが、
昨今酸素センサー、および周辺回路、制御構造の改良、バックマウントカウンターラングの導入などにより信頼性も上がり、コンパクト化したe-CCRがCave Diving でも多く使われてくるようになってきた。
ガスマネージメントの優位点、排気ガスが天井に当たって降り注ぐパーコレーションを最小限にとどめることもできるサイレント・ダイビングの可能性が広がってきている。

初期に導入されたリブリーザーとしてはAP Diving社のInspiration / Evolution があげられるが、
エビデンスも少なく、電子回路の結露水没問題、各接続部のリーク問題、重量バランスなど悪さなどから、これに手を加えてカスタムすることも通常行われる状況が長く続いた。

そこから、各社、酸素を供給するソレノイドバルブの強化、電子回路の結露水没対策、接続部の最小化及び接続部の精度向上を踏まえ
Megalodon, Sentinel, Uroboros, HammerHeadなど堅牢性を重視した第二世代の台頭

弱点とされていたペネトレーションを意識し、トリム重量バランスを考えた配置に加えバックマウント・カウンターラング/モノ・カウンターラングの導入、極狭環境への侵入を考えてのユニット小型化、Sheawater Dive Computerを代表とするコンピューターの信頼性向上、サイドマウントの導入など
JJ-CCR, rEvoⅢ, SF2などに代表される第三世代に突入....

ユニット自体のダウンサイジング、デザインによるメンテナンスのしやすさ、コンピュータの導入と視認性確保etc.....リブリーザーの進化はオープンサーキットの比ではない。
致命を防ぐために本当に必要な部位が強化されて今に進化を遂げている。今後もそれを踏まえて多くのデザインモデルが出て活躍の場もさらに広がっていくだろう。