Double Tank Decompression Diving

ダブルダンク 減圧ダイビング(Trimix, EANx O2などのミックスガス)

  • 2015.11.19

一般リクリエーショナル・スクーバ・ダイビングにおいては水深40m, 減圧不要限界内でのダイビングが鉄則である。その制限を越える方法論が、現在テクニカルダイビングとして存在する。 問題が生じたから、例えば機材が故障したり、ガスが無くなったりなどがあったとしても、水深40m 以深では水面まで遠い。 そればかりではなく、減圧停止も必要であるため、直接水面までの浮上は減圧症のリスクが高いため危険だ。 そのため、以下のようなスキルと、方法論がスタンダードとなっている。

  • バックアップ機材の必要性からWタンクを基本とする。
  • バディ・ガス切れに対する減圧スケジュールの続行のためロングホースの使用。
  • 水深、潜水時間に応じた必要ガス容量の事前計算。
  • 減圧時間を短縮するため、高濃度酸素含有ガスの使用
  • 窒素酔い軽減のため、ヘリウムガス含有のトライミックス、ヘリオックスなどの使用。
  • 減圧スケジュールの実施のための厳密な中性浮力と浮上スピード管理
  • ダブルタンク・システム


    標準となるWタンクシステム
    アイソレータ付マニホールドバルブで2本のタンクが連結され、片側のバルブから両方のガスが吸えたり、故障時片方を遮断するなど の対応が取れる。

    アルミ11.5L × 2

    水中重量の問題によりウェットスーツ時に適している。

    スチール 14L × 2

    水中重量の問題によりドライスーツ時に適している。
    丈の問題から、160cm以下の方は12L×2のtwinsetが適しているかも。

    Halcyon Explore (U shape)

    左右重量が不均等な場合、ウィングのガスの分配により補正がしやすい。

    Halcyon Evolve (O shape)

    Wing内のガス移動がスムーズなためクイックな動作を旨とする。

    Long hose set (Right for twinset)

    Long house and Inflator hose

    Short hose set (Left for twinset)

    Shor house and guage

    Decompuression / Stage bottle

    6L Aluminium for Oxygen(right), EANx50
    11.5L Trimix を減圧時/延長時に切り替え使用する。

    Dry Inflation Bottle

    保温性のないTrimixを呼吸ガスとして使う場合、それとは別に
    1L or 2L Aluminium でドライスーツ吸気専用として保温性のある
    Argonガス/空気 などを使用, Twinset やバックプレートに固定する。

    Nitrox (Enriched Air Nitrox EANx)

    Nitrox (ナイトロックス)とは、窒素、酸素 の2種混合ガス(Nitro, Oxygenの造語)を言う。
    酸素濃度を空気(21%濃度の酸素)よりも濃くしたものをEnriched Air Nitrox(EANx)と呼ぶ。
    酸素の濃度が濃いことから、減圧不要限界が延長できるテクニカルダイビングでは、以下のTrimixなどのほかのガスと併用することで 減圧時間を短縮する方法も取ることができる。
    酸素濃度が低いガスから高いガスに切り替えた場合、浸透圧の関係から窒素の排出が加速されることから加速減圧という言葉がある。

    代表的なEANx
    DepthMix酸素窒素EADPO2用途
    6mOxgyen100%0%-1.6atmDeco
    21mEANx5050%50%9.6m1.55atmDeco
    25mEANx4040%60%16.6m1.4atmBottom
    28mEANx3636%64%20.8m1.4atmBottom
    33mEANx3232%68%27.0m1.4atmBottom

    Trimix (Normoxic, Hypoxic)

    Trimix (トライミックス)とは、ヘリウム、窒素、酸素の3種混合ガスの事を指す。
    一般的に窒素は麻酔効果があり、窒素酔いが起こることが知られており、これを軽減するために同じ不活性ガスで麻酔効果が無いとされているヘリウムを代用する。
    また、一般的に深度が深くなるごとに呼吸抵抗が大きくなるが、窒素に比べ分子量が小さいことからヘリウムは深深度下で粘度に対して相殺され、呼吸抵抗も小さく方向に行く。
    一方、保温効果が無いため、ドライスーツ使用時などはスーツ内の給気には使えない.そのためドライスーツインフレーション用には別途1L~2Lのミニボトルを装備し、保温性のあるガスとしてAir もしくはアルゴンガスを使用することが一般的である。

    Trimix / Nitrox Diving(Mix Gas Diving)

    長時間、水深40mを越える減圧ダイビングを行う場合、空気(窒素78%, 酸素21%,etc)を使用する場合、以下の問題が出てくる。

  • 長時間の減圧停止時間
  • 窒素酔い
  • 酸素中毒
  • これを解決するために、Trimix, Nitrox ガスの利用するという手法がある。
    これらのガスを1Dive中に切替ながら潜ることにより、上記の問題を軽減/回避することができる。

    Wタンクと加速減圧などを行う各種ガスが入っているステージボトル

    必要な深度、時間に応じて必要な種類、容量を用意し、深度/時間によりこれを吸い分ける。ステージボトルはDリングにフック取り外し可能とする。

    GUE Standard Gas と Racio Deco

    GUE(Global Underwater Explores) では、減圧ダイビングを行ううえで、その計画を分かりやすくするためスタンダードガスを以下のように定義している。

    GUE Standard Gas
    DepthMix酸素ヘリウム窒素EADPO2用途
    6mOxgyen100%0%0%-1.6atmDeco
    21mEANx5050%0%50%9.6m1.55atmDeco
    36m35/25 trimix35%25%40%10.3m1.6atmDeco
    30m30/30 trimix30%30%40%13.3m1.38atmBottom
    45m21/35 trimix21%35%44%20.6m1.2atmBottom
    60m18/45 trimix18%45%37%22.8m1.26atmBottom
    75m15/55 trimix15%55%30%22.3m1.28atmBottom
    100m12/65 trimix 12%65%23%22.0m1.3atmBottom
    120m10/70 trimix 10%70%20%22.9m1.3atmBottom

    このスタンダードガスを使用して減圧計画をPlanner を使用して計算すると、ボトム水深を一定とした場合、ボトム時間と減圧時間との間の比率が一定に近い値となるという法則を見出した。
    この法則を当てはめ、ボトム時間が変更された場合、減圧時間はその比率を掛けた値を追加するという減圧時間の変更を行う方法をRacio Deco, Battle Field Deco などと呼ぶ。
    Depthボトム時間 : 減圧時間
    45m1 : 1
    66m1 : 2
    90m1 : 3
    105m1 : 4.5
    120m1 : 6

    認定講習

    テクニカルダイビングは深度に応じて段階認定が取られている。レクリエーショナルダイビングの 限界深度は実質的減圧不要限界から40m以下、とされているが、そこを起点に大まかに Advanced EANx[~40m] → Technical(Extend Range) [~50m] → Nomoxic Trimix[~60m] → (Hypoxic)Trimix[61m~] のステップを踏むことになる。

    Advanced EANx

    リクリエーショナル・ダイビングでは、EANx(ナイトロックス) SPが定義されている。
    このコースでは、酸素濃度40%(EANx40)までのガス使用となっているが、テクニカルダイビングでは、この制限を越え、40%~100%(純酸素) までを使用し、減圧時間を短縮する 加速減圧 という手法を使用します。
    Advanced EANx Diver では、EANx50 を使っての加速減圧によるダイビングを行う。
    高濃度酸素は、深度により酸素中毒およびその高助燃性のため、重大事故を引き起こす取り扱い注意なガスであり、この関連知識に習熟する必要がある。
    潜水中のガス交換はもとより、ガス充填、対酸素対応の機材選定なども重要事項となる。
    このランクでは、本格的な減圧停止を行うわけではないが、減圧停止の理論、実施方法、複数のガスの切り替え使用は学ぶ必要がある。

    Technical Diver

    Advanced EANx の基礎を固めた上で、Air(空気)ガスでの最大深度である55m までの潜水をEANx40以上の酸素濃度のガスを用いて行う。
    水深40mを越える潜水では高い窒素酔い状態と、酸素中毒の危険性から この限界深度がリミットとして定義されている。
    ボトムガス(最大水深で吸引するガス)をAir(空気)として、浮上時に適正なナイトロックスに切り替えながら加速減圧をして浮上する。
    ここからが、正式な減圧潜水こういとなるためテクニカルダイバーと定義されるランクともいえる。
    昨今は、Air によるDeepダイビングは推奨されず、30m以深は、Heliumを混合したTrimixを使用する方向に行っており、このコースはなくなり、代わりにNormoxic Trimix コースに移行している。

    Normoxic Trimix Diver

    窒素酔いを軽減するために、Air(空気)ではなく、ヘリウムを含有したトライミックス(ヘリウム+窒素+酸素の3種混合ガス)を使用することで最大水深を広げる手法をとる。
    Normoxic を冠するのは陸上で吸引できる酸素濃度のトライミックスをボトムガスとして使用することになり、陸上ですえない低酸素濃度のトライミックスを使用する、さらに深度を上げる次のランクである(フル)トライミックス・ダイバーとの橋渡し役としてのランクでもある。

    (Hypoxic, Advanced) Trimix Diver


    写真は、バックマウント・ダブルタンク(14×2L Trimix), 左わきに12L(Normoxic Trimix) タンク1本、ステージタンク6Lを3本(Nomoxic Trimix, EANx50, O2)を呼吸源として携帯 また、ドライスーツインフレーション用の独立タンク(2L)を1本携帯
    酸素中毒をさけ、更なる新深度を目指すため、陸上では吸引すると低酸素症となるような低酸素濃度ガスを使用するランクとなる。
    複数のガスを使用するテクニックとしては最終段階となる。
    100m クラスの深度となるため、ステージボトルも複数本携帯することになり、ボトムガス(Hypoxic Trimix)の他に、Travel GusとしてNormoxic Trimixガス、Air, EANx32, ~ EANx50, 純酸素など計画に応じて携帯する。
    ボトムガスとしてWタンクには、陸上では吸引すると酸素欠乏となる低酸素濃度のトライミックス
    (O2,He,N2)のミックスガス、トラベルミックスとして21/35(21%酸素、35%He, 残りN2),さらに
    減圧ガスとして、EAN50, O2(純酸素)などを携帯し、適宜深度において切り替えて使用する。

    Mixガス

    テクニカルダイビングとの名称が付いたのはこのEANx, Trimix などの成分をコントロールしたMix ガスを使用するダイビングと言うのが狭義の定義であるが、さらにWreckやCave(洞穴)などの頭上閉鎖空間への侵入のテクニックも合わせ総合してテクニカルダイビングと呼ぶのが現在の流れである。本ページではOpen Circuit 器材をベースに話を勧めているが、後に出てきたサイドマウントやリブリーザーも減圧ダイビングを行う場合は、このMixガスダイビング(Extend Range ~ Trimix)のランクが同様に定義される。 アイソレータ付きダブルタンクはテクニカルダイビングの基本ではあるが、サイドマウント・スタイルでこれができるようにカリキュラムが変更されつつある。また、リブリーザーに移行する場合は、Advanced EANx までの認定が必要なものが多い。やはりテクニカルダイビングの基本カテゴリーである。