SF2 Sidemount e-CCR

Sidemount CCR (サイドマウントリブリーザー)の代表作

  • 2017.1.30

バックマウントがベースとなっていたリブリーザーダイビングだが、Cave / WreckなどのPenetration Divingにおいて Sidemountが流行ってきたところ、CCRにSidemountが出てきた。
その代表作として、Backmount と Sidemountの両方のStyleを構成できるSF2 が生まれ、Afghanもこれを使う Sidemount Configuratioinを開発、実践してみた。

サイドマウント

サイドマウントに関しては別途記載しているが、サイドマウントは文字通りタンクを背中に背負うのではなく 脇に抱えて潜るスタイル。リブリーザーでこれを導入するに当たり、ユニットもサイドにマウントすることが考えられる。 おいて、Open Circuit と比べていくつかの問題点がありこれを一つずつ解決する方法で いくつかのサイドマウント・リブリーザーが生まれては試されてきた。 今なお、そのConfigurationやユニットのあり方、運用方法が開発、磨かれてきている....

カウンターラング

一番の問題は、カウンターラングの存在だろう。 初期の量販リブリーザーである、Inspiration / Megalodon などはカウンターラングをハーネスの上、胸元に かぶる別体型、そしてブリージングホースが吸気/排気と肩口で接続される形となっており、 初期のサイドマウントリブリーザーは、カウンターラングは同様にチョッキを着るような形で、ユニットと 球形の酸素タンクを内蔵させたユニットが開発された。 この場合、ブリージングホースが長く、ユニット&カウンターラングの接続口が4つとなり、かなり複雑な構成 をとる必要が出て極狭環境侵入における、トラブル増大となってしまう。 一方、PSCR として Halcyon などからカウンターラング内臓ユニットが出現、この構造に似た形でSF1が生まれ、 その流れでSF2が生まれる。

Sidemount Rebreathers -各種サイドマウントリブリーザー-

SCR(Semi-Closed Rebreather) は、CCRに比べガス効率、減圧効率に劣る半閉鎖式リブリーザーではあるが
ユニットを右、ループガスを左、と大きく構成要素が偶数となり、左右対称型のConfigurationの容易さからSidemountに関しては、SCRが優位に働くこともある。
また、電子制御部品を必ずしも必要としないことからの安全性を主張してきたHalcyon RB80の趣旨からも分かる通り
Cave/Penetrationなどの閉鎖空間侵入においてもSemi-Closed-Rebreatherを支持する動きも元から存在する。
Satori, Tres Presidentes, GEM Sidekick などがある。
更に、e-CCR(Electric 電子制御) よりも故障率が少ないと言われているm-CCRとして Sidekick mCCR, Sidewinder, FLEX2 などが存在する。
加えて、完全閉鎖式で完成度を高めたe-CCR として、タンク非搭載型のSF2, FLEX2, Proteus, 酸素タンクのみ搭載のT-REB, 酸素/Diluentガス両タンク搭載のLiberty が登場し、群雄割拠となっている。 現在大きく分けて上記のようなスタイルが模索されているが、まだ発展途上でConfigurationもこれから有用なものが出てくる可能性も高い分野で ある事を明記しておく。
※Afghan としては、ユニット搭載型はタンクサイズが制限されており、アレンジの余地もないので、この中でSF2 を採用、実践有用なConfigurationを確立、オリジナルの改造も進めている。

Satori

Sidemount PSCR. デザイン, 構造などはSF2 と似ている。複数のループガスをコネクションでチェンジ することで減圧効率を上げるテクニカルダイビングの手法が使える。

Tres Presidentes Ultimate Rebreather

Satori 同様のPSCR Sidemount.ユニットをバックマウントして、ループガスをステージとしたスタイルも実施されている。

GEM / Sidekick

KISS社製。GEMを利用したSCRとmCCR の2機種が用意される
作りがかなり簡素化されており故障する要素が恐らく最小。大きさもサイドマウントリブリーザー最小なので閉鎖環境で大きなアドバンテージがある。ユニットも軽量DSVの作りがバックマウントのままなのがイマイチ(替える人が多い)作りが単純なため自分好みにカスタムもしやすい。

KISS Sprit SIDEWINDER mCCR

バックマウントでキャニスターを2分割した KISS Spirit をサイドに配置することにより作られたmCCR。 ユニットが1つのSidemount Rebreatherと違い、左右対称にできる特徴がある。使い心地はバックマウントに近く セッティング以外はバックマウントからの移行は容易。

FLEX2 CCR

Backmount CCR のXCCRから派生したSidemount 専用のRebreather. タンクはSF2同様酸素/Diluent共に外部接続。 カウンターラングがin/out二つでユニット上部に設置されるタイプであるため姿勢変化による呼吸抵抗の変化は小さいことが期待。mCCR / eCCR それぞれが用意され、 Shearwater も導入されてる。ユニットは中型(やや大型)

SF2

ドイツ製 e-CCRでBackmount, Sidemount の両方が存在。Afghan 使用。Dulent, Oxygen ガスは外部接続方式。 モノカウンターラング搭載とすることでユニット小型化と機材パーツの組み立て簡略化を狙ったモデル。 ユニットの大きさは中型(の中では小さい)、カーボンファイバーボディのため軽量、堅牢性をもち、最小構成を狙う。 突起部分が殆どなく僻地への運搬も楽。 モノ・カウンターラング構成のための小型単純化があるが姿勢変化により呼吸抵抗の変化が大きく、使いこなすにはには独特の難しさがある。 難易度の高いリブリーザーと言える。

T-REB

Sidemount 専用のClosed Circuit Rebreather. 酸素タンク(2L)のみユニット搭載。 カウンターラングは胸の近くにあるので、SF2より呼吸抵抗変化はない可能性が高い。 ユニットは大型。(12Lのアルミを超える長さ) タンク搭載方法としては、SF2, FLEX2 と Liberty の中間的立ち位置。現在販売間近(2019.4現在)

Liberty Sidemount CCR

チェコ製の電子制御完全二重化(ソレノイド, バッテリー, コンピュータ) 酸素/Diluent の2本(各2L)のタンクをユニットに搭載。 これにより外部接続が全くない独立性があり、脱着も容易、左右にダブルCCRとしてサイドマウントも容易。 コントローラーも二重化のため管理の方法は独特。 RazorのSteve Bogearts氏も採用した。 Diluent/Oxgyen両タンク搭載のため大型、重量があるため運搬、組み立てに難あり、閉鎖環境での取り回し/変形が困難になり、軽快性が損なわれる。 ユニット, タンクの組み合わせ搭載、カウンターラングがむき出しであるところは若干堅牢性に不安要素がある。

今後の可能性

サイドマウントリブリーザーの融合は考えとしては誰もが考えるところではないだろうか?
ただ、事は簡単ではない。OC Sidemount はその構造が単純で構成単位が完結最小, 他との接続を考えなくていいため、左右対称の構成が採りやすい。
一方、Rebreather はユニットに対し、SCR であればループガス、そしてテクニカル使用でガスチェンジを行うのであれば複数のループガスが必要
CCRであれば、ユニット, 酸素, Dulentガス, テクニカル使用であれば当然Dulent も複数必要であり、これらを左右バランスよくどう配置するのがよいのか
また、ユニットの姿勢を換えることによる呼吸抵抗に対する対応、カウンターラングの配置と保護観点、この辺がまだに詰められていない。
いずれ、進化していくであろう。
Backmount RebreatherとSidemount Rebreatherのコラボ, ベイルアウトリブリーザーとしての可能性とフォーメーションなど
多くの可能性があると思われる。
Sidemount, Razor をいち早く導入したAfghanは、2015年からその中でSF2を選択導入、Configurationの開発を続けている。

DSV

SF2 Sidemount Rebreather のDSVとして現在Afghan は3種類を利用している。
・シンプルなメーカーオリジナル
・DiveSoft社製
・2020年版 DSV
DiveSoft社のDSVはオリジナルのSidemount DSVにはない、Deluient Gus Manual Addition Value が追加となる。
Afghan Style としてはDiluentに関してはMAVが追加されたことにより、ADVにつなげるホースにはShut Off Switchを追加している。
通常の酸素MAVに関しては開放して緊急時の追加ガス接続箇所として利用することにしている。

更に、DiveSoft社製、2020年版DSV に関しては、Shearwater NEAD2 を搭載
ユニットを前に出した時などでリストのコントローラーが死角に入る場合でも
PO2監視が途切れることなくできることを可能とした。

また、酸素側の残圧計をTransmitterに変更することにより
AI機能を有するNERD2により、更にシンプルなCoinfigurationをも可能とする。